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御坂サイフォン。坂を登る水。兵庫県三木市志染町
9月29日、淡河疎水の土管を見ました。この写真を見ますと、普通なら水が山から土管を通って流れていると思います。
しかし、水は坂を登っています。驚きですね。この仕掛けは身近な事で説明できます。
コップに水を満タンに入れます。コップにU字型のストローを刺し、ストローで水を吸いますと、ストローの中は水で満たされます。
その時、水はコップの水を吸い上げ、外に流れていきます。(イラスト1)
これがサイフォンの原理です。灯油ポンプも同じ原理を使っています。
サイフォン(siphon)とはギリシャ語で「管」や「チューブ」の意味です。
サイフォンの原理を応用として、谷に水道管を通す際、橋をかけると費用がかかります。(イラスト2)
工事費用削減としてサイフォンの原理を応用して、谷に橋をかける事なく、水道管を通す事ができます。
兵庫県加古郡稲美町周辺は高台にあり、水の確保が困難な場所でした。ため池などで対応していましたが、それでも足らない状態でした。
江戸中期から疎水計画がありましたが、技術面や費用面の問題があり、着工まではいきませんでした。
明治になりイギリス人技師・パーマーの助言の下で疎水工事がはじまりました。
サイフォン技術を使った疎水は江戸時代にもありましたが、そこまで大規模なものはありませんした。
そして明治24年に完成しました。御坂にあるので御坂サイフォンと名づけられました。
淡河川・山田川疏水~いなみ野台地を潤す水の旅~(兵庫県庁)
御坂サイフォンを設計したパーマー(農林水産省)
身近な科学ですが、農業に役立っている事を知りますと、より科学への興味が沸いてきますね。