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紙幣と信用の話。

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 丁度6年前の2013年4月4日。黒田日銀のバズーカー砲が飛び出し、大規模金融緩和が始まりました。
 日銀が行っています事は、お札を刷って、そのお札で国債や債権を爆買している事です。経済学用語の買いオペですね。

 実際、日本銀行の財務諸表のサイトを見ますと、462兆円もの国債を保有しています。
 第134回事業年度(平成30年度)上半期財務諸表等について (日本銀行のサイト)

 日銀の収益の1つに通貨発行益があります。刷ったお札は負債勘定に入りますが、利息はかかりません。
 刷ったお札で国債や債権を購入する事で、国債・債権から得た利子の収益を「通貨発行益」と言います。
 お札を刷って利益を得る。まるで錬金術ですね。ちなみに日銀の収益は国庫に納められます。

 日銀がお札を大量に刷ることができるのは、不兌換紙幣だからです。
 お札には兌換紙幣と不兌換紙幣の2種類があります。この違いは、信用の裏づけが「金」なのか、国家の信用なのかの違いです。
 兌換紙幣は金との交換ができます。その反面、中央銀行は金を保有していないと、紙幣を発行する事はできません。
 そのため兌換紙幣は、ハイパーインフレ防止にはなりますが、金が確保できない場合などは、経済の活性化が行えない問題点があります。

 その一方で、国家の信用で発行していますのは不兌換紙幣です。
 そのため大量のお札を刷りすぎると、少し前までありましたジンバブエ・ドルのようにハイパーインフレになり、札束を抱えての買い物になったりします。
 でも、日本ではインフレどころか、ようやくデフレ脱却かと言われています段階なので、まだまだ日銀がお札を刷っても心配は全くないですね。

 ところで不兌換紙幣の歴史を調べてみますと、13世紀のモンゴル(元朝)まで遡ります。
 モンゴル帝国が金国(満洲人)の領土を占領した際、金国では硬貨を製造する銅などが不足していたため、経済を回すため、国家の信用で紙幣を発行したのが始まりです。その紙幣の事を「交鈔」と言います。
 硬貨の原材料と信用となる金属が入手できなかったため、国家の信用で紙幣を発行する。発想の転換ですね。
 紙幣がぼろぼろになった時、交換の際、手数料をとっていました。まさに通貨発行益ですね。

 ほんの少しですが紙幣の歴史を垣間見るだけでも面白いですね。

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