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征夷大将軍の本来のお仕事は、外国を打ち払う事。

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 征夷大将軍といえば、武家政権の棟梁を連想してしまいます。
 でも、本来の征夷大将軍は夷狄を征伐するのが目的で創設された役職でした。
 「征夷」とは「夷を制する」です。「夷」は異国を意味する漢字です。

 大和朝廷時代から支配が及ばない東国や北国(関東・東北)の事を蝦夷と呼んでいました。
 朝廷の支配外の地域は、日本という認識はありませんでした。外国でした。
 蝦夷の征伐軍の大将として「征夷大将軍」が任命されました。
 桓武天皇が坂上田村麻呂を征夷大将軍に任命がよく知られています。

 しかし、平安時代になり東北は朝廷の支配が及ぶようになりました。
 そのため征夷大将軍の役職を置く必要性がなくなりました。

 しかし源頼朝は右近衛大将の地位を3日で辞めた後、征夷大将軍の役職を希望しました。
 源頼朝は「征夷」には興味がなく、「大将軍」に強い関心がありました。
 武家の棟梁で、大規模な軍隊を引き連れている将軍。そんな事を連想していたようです。

 その後、征夷大将軍の本来の仕事がなくなり、武家の棟梁・幕府の長という形になりました。
 しかし、江戸末期になり「征夷」を言い出す人達がいました。尊皇攘夷運動の人でした。

 江戸幕末の1853年、ペリーが来航以来、欧米列強に対して開国や不平等条約を結びました。
 幕府の弱腰外交に対して尊皇攘夷派の中には「征夷大将軍は外国を討てないので存在意義がない」と言い出した人がいました。
 言葉の力は強く、将軍の存在の正当性が疑われました。倒幕につながる1つの要因になったようです。

 江戸幕府の崩壊の手助けをしたのは源頼朝の「大将軍」という名称への憧れ。
 歴史は思わぬところでつながっている事を感じますね。

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