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政治力を行使せず政治を動かした光格天皇。江戸時代。

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 江戸時代、禁中並公家諸法度により朝廷は政治参加は許されていませんでした。
 しかし、政治力を行使せずに政治を動かした天皇がいました。光格天皇です。

 時の権力者だった老中・松平定信は寛政の改革を行っていました。しかし、経済オンチだったため、景気は悪化し飢饉が起こる状態でした。
 民の安寧を願う光格天皇にとっては松平定信は許せない存在でした。

 そんな中、光格天皇は秘策を用いました。父親である閑院宮典仁親王を上皇にしたいと江戸幕府に提案しました。
 過去に天皇にならずに上皇になった例(守貞親王)がありましたので、光格天皇は容易に提案できる内容でした。

 松平定信は光格天皇の申し出を断りました。幕府としては認めるわけにいかなかったためです。
 この時、松平定信の立場が悪くなりました。時の将軍・徳川家斉は自分の父親の徳川治済を大御所にしようと考えていました。
 しかし、光格天皇の申し出を断った以上、徳川家斉の要求も断らざるえなくなりました。
 そのため徳川家斉と徳川治済の不興を買い、松平定信は失脚してしまいました。
 これが尊号一件と呼ばれる事件です。政治力を行使せずに松平定信を失脚させる事に成功しました。

 ところで現在の天皇家は光格天皇の系統です。
 現在、天皇陛下は憲法4条で定められていますように、政治参加どころか政治的発言が許されません。
 そのため生前譲位を望んでも「生前譲位したい」と発言すると憲法違反になってしまいます。

 2016年、天皇陛下(現・上皇陛下)は「象徴としてのお務めについての天皇陛下のおことば」で苦悩を滲ませる表現をされました。ギリギリの表現をしました。
 政府が陛下のお気持ちを忖度し、生前譲位につながりました。上皇陛下は政治的ご発言はされませんでしたが、政治を動かしました。

 ところで光格天皇は生前譲位をしましたが、その後の天皇は終身天皇でした。今年、202年ぶりに生前譲位が行われました。
 光格天皇の事を知りますと、親しみを感じますね。
 

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