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モンテスキューの三権分立。イギリスで学んだのは本当なのか?

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 中学校の歴史で、モンテスキューは三権分立と習いました。
 18世紀のフランスの思想家・モンテスキューがイギリスへ渡り、イギリスの政治制度を学んで、三権分立を思いついたという事に由来します。
 しかし、当時のイギリスの政治制度を見ますと、とても三権分立の状態ではありませんでした。

 イギリスには大法官という首相よりも偉い役職の人がいました。
 大法官は、上院議長、最高裁長官、法務大臣を兼任する役職でした。議会と司法の長が兼任している状態です。
 上院が最高裁の機能も兼ねていましたので、議会と司法も分離されていませんでした。
 そしてイギリスの場合、議院内閣制を採用していますため、議会と行政が分離もされていません。立法府の議員が、大臣という行政の長になります。
 
 そのためモンテスキューは、本当にイギリスで政治制度を勉強したのかが疑問になってきます。
 好意的に見れば、モンテスキューは、イギリスの政治制度を見て、立法・行政・司法を分離させた方が良いと考えたのかもしれないです。
 ただのトンチンカンの場合もあります。真相はわからないですね。

 ところでイギリスの大法官ですが、20年近く前までは、王族を除けば、イギリス国内で2番目の席次になります。
 1番目はイギリス国教のカンタベリー大司教になります。大法官は首相よりも上席でした。
 ただ、イギリスの政治制度が三権分立になっていない事や、成文化されていない憲法だとわかりにくいため、EU本部からイギリスに対して司法改革が叫ばれました。
 2003年以降、ブレア政権での司法制度改革により、大法官の役目は法務大臣のみとなり、上院議長、最高裁長官の役目は外されました。

 ヨーロッパ統合が目的とはいえ、各国の政治制度へ介入していくため、イギリスがEUから離脱したがるのは、心情的には理解できます。
 イギリスがEUから離脱した事で、イギリスやEUにとって良かったのか悪かったのかは、素人の私には、わかりませんが。

 日本でも議院内閣制を採用しています。首相は立法府の国会議員から選出されます。(憲法67条)
 国務大臣の過半数は国会議員から選出されます。(憲法68条)
 そのため議会と行政が分離されていません。

 その上、日本では議会と内閣(行政)はお互い、介入し合えます。
 議会は内閣不信任案を提出できますし、首相は議会を解散する事ができます。内閣が政府案として法案提出権があります。(内閣法5条)

 三権分立を真面目になっているのは、おそらくアメリカぐらいと言われています。
 アメリカの場合、三権が監視し合う構造にしています。そしてお互いが介入できないような仕組みにしています。

 アメリカの場合、大統領は議会解散権はありません。議会は大統領の弾劾は可能ですが、手続きが大変です。
 大統領と閣僚は議会からは選出されません。ただし、大統領が選んだ閣僚が適切かどうかの判断は議会が行いますので、議会の承認は必要です。
 大統領は議会に対して法案を提出する権限はありません。行政が立法の仕事ができないようにしています。
 そのため大統領が一般教書演説で「○○を実現させたい」と述べているのは、議会に対して「○○を実現したいから、お願いだから法案を作ってください」と言っているのと同じになります。大統領令も行政の範囲内な上、執行する際、予算がない場合は、議会に予算承認を求める必要があります。
 そのためトランプ大統領が「メキシコ国境に壁を作るぞ」と宣言しても、議会から壁建設の予算の承認がなければ、壁は建設できません。

 学校で習った事が本当なのかと疑って見ますと、色々な事を知る事ができて、面白いですね。

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