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アメリカの国際協調主義はアメリカの伝統ではない話

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 1月20日、アメリカでバイデン新大統領が誕生しました。
 バイデン新大統領はカトリックで、カトリックの大統領は2人目です。
 歴代のアメリカ大統領といえばWASP(ホワイト、アングロサクソン、プロテスタント)が占めていますだけに、異例といえば異例ですね。

 バイデン新大統領は就任式の演説で国際協調主義を掲げました。
 今後、世界はどうなっていくのか。難しい話は専門家に任せまして、国際協調主義がアメリカの伝統ではない話を書きます。

 アメリカが誕生した際、イギリス、フランスといった列強がいました。非常に弱い立場でした。
 そんな中、第五代大統領・モンローが、列強に振り回されたくない事から、「うちは他国に干渉しない代わりに、うちに干渉しないで」と宣言し、自国第一主義に向かいました。モンロー主義と呼ばれる物です。
 トランプ前大統領のアメリカ第一主義は、モンロー主義を踏襲した形になりますので、アメリカ人にとって目新しい感じはしませんが、トランプ前大統領の「アメリカ、ファースト!」の言い方が新鮮だったのか、日本でも「○○ファースト」という言葉が流行りました。

 最初に国際協調主義を掲げたのは、第一次世界大戦の時の大統領だった第28代大統領のウィルソンです。
 表向きは国際協調や民族自決を掲げました。本音はヨーロッパ主導の国際秩序から、アメリカが介入し、アメリカによる国際秩序を目指す物でした。
 そして民族自決はヨーロッパ列強の力を削ぐのが目的でした。ヨーロッパ列強の植民地に対して独立を煽る事で、各地で独立機運が高まり、ヨーロッパ列強が植民地の沈静化のために力を注がねばならない状態になりました。
 ヨーロッパの列強からしてみれば、悪魔のような大統領でした。
 アメリカは中国大陸での利権獲得のため、日本を牽制する意味合いも込めて、国家として体をなしていなかった中華民国を国際協調の場に呼びました。
 それが第一次世界大戦の処理を決めるパリ講和会議です。

 その後も蒋介石の妻・宋美麗が対米スポークスマンとして、アメリカの要人達を手玉にとり、アメリカとの関係を深めた話もあります。
 その流れがあり、第二次世界大戦後の国際連合の五大国に中華民国が入りました。

 ウィルソンの国際協調主義で出てきますのは、国際連合の前身であります国際連盟の創設です。
 しかし、第一次世界大戦後、アメリカはモンロー主義に戻りはじめ、国際連盟加入などが議会で批准されませんでした。

 ウィルソンは民主党の大統領でした。第二次世界大戦前後の国際協調の立場だった大統領のルーズベルト、トルーマンも民主党でした。
 アメリカの国際協調(覇権争い参画?)は、ウィルソン以来の民主党の伝統といった所ですね。

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