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文武両道。金メダリストは数学者。東京オリンピックの女子自転車ロードレース
東京オリンピックの女子自転車ロードレースでオーストリアの数学者のアナ・キーゼンホファー選手が金メダルをとりました。
五輪取材ノート:金メダリストは数学者、会見で見せた笑顔と信念(ロイター通信)
このニュースを見た時「文武両道」が過ぎりました。
ただ、あまりにも凄いため、アナ・キーゼンホファー選手は、どういう頭脳を持っていて、どんな身体能力なのかと驚愕するしかありません。
しかも記事には「英語だけでなく仏語、独語、スペイン語も堪能」(注1)と書いていますので、語学の達人でもありますね。
アナ・キーゼンホファー選手は、スイス連邦工科大学ローザンヌ校で数学の研究員です。
スイスの公用語は、ドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンス語なので、日本と違って語学教室へ行かなくても、日常生活で色々な言語に出くわしますね。
数学と聞くと難しい、無味乾燥と思いがちですが、ちょっと違った角度でみますと面白い事がわかります。
豊臣秀吉のお伽衆・曽呂利新左衛門の「米の倍増し」の話を紹介します。
豊臣秀吉が曽呂利新左衛門に対して「欲しい物があるか」とたずねると、曽呂利新左衛門は「1日目は米1粒、2日目は米2粒、3日目は米4粒で、毎日米粒を倍にして、30日間、米粒をください」と言いました。秀吉は大した量ではないと思い、承諾しましたが、30日目になりますと536,870,912粒。5億粒以上です。
とんでもない量で豊臣秀吉が腰をぬかしたという話です。
他にも確率を使うと面白い事がわかります。
40人学級で同じ誕生日の人がいる確率です。89%の確率で同じ誕生日の人が存在します。40人全員の誕生日が異なる方が確率的に低いということです。
10円玉の裏表の問題です。10回つづけて表が出ました。次、表が出てくる確率は。答えは50%です。
しかし、10回続けて表が出ると、次は絶対に裏になると思いがちですね。
そして数字と確率を組み合わせますと印象操作ができます。
この野菜ジュースを飲むと80%の健康効果が出るとします。思わず手が出ますね。
しかし「この野菜ジュースを飲んでも20%の人には効果がでません」となると、ちょっとためらいますね。
同じ内容でも人間の頭の中で無意識な印象操作が行われますね。
他にも「日本人口の5%が、この食べ物を食べています」だと少なそうに見えますが、「日本人650万人が、この食べ物を食べています」となりますと、多そうに見えますね。
印象操作ですが、冷静にみますと見抜く事は可能です。
テレビ番組でコメンテイターの中には、印象操作のために、怪しいグラフを提示したりしますが、それを見抜きますと「怪しい!」という突っ込みができます。
身近な所にも数学が使われています。
衛星放送を受信するパラボラアンテナの形状は放物線です。中学の数学ですね。
数学者が扱う難しい数学はわからなくても、中学・高校で習います数学でも世の中が面白くなりますね。
(注1) オーストリアの言語はドイツ語なのでロイター通信の記事に対して「独語だけでなく仏語、英語、スペイン語も堪能」の方が正しい文章ではないかと突っ込みを入れたくなります。