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イランはペルシャ? よくわからないイランの話

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 イランの新大統領にライシ師が就任しました。
 イラン 反米・保守強硬派のライシ師が大統領に就任(NHKニュースサイト)

 イランの不思議なのは大統領が国のトップではなく、その上に最高指導者がいることです。現在の最高指導者はハメネイ師です。
 敬称に「師」がつくのはイスラム法学者だからです。ハメネイ師も大統領を経験した法学者です。

 ところでライシ師は保守強硬派といわれていますが、日本で報道されているほど強硬派でもないようです。
 ライシ師よりも強硬で過激な発言のマフムード・アフマディネジャド元大統領は、2017年に引き続き、今回の選挙前の審査でも失格とされ、出馬できませんでした。
 大統領選挙に出馬する際、事前に護憲評議会の審査があるので、誰でも出馬できるわけではないのが、民主主義国家の選挙と違った点です。

 これからのイラン情勢はどうなるのか。中東や国際情勢のド素人の私なのでわかりません。イランに一度も行った事がないので、どんな国かもわかりません。

 ただ、わからないながらも、少しイランの事を知りますと、不思議な点が多い事があげられます。
 例えば、イランはペルシャであってアラブではないと言われています。ここで疑問が出てきます。
 イスラム教はアラブ商人のムハンマドを創始者とする宗教です。アラブ人が興した宗教です。
 そしてハメネイ師、ライシ師のターバンを見ますと黒色です。黒色のターバンの着用を認められているのは、イスラム教の創始者・ムハンマドの末裔のみです。ムハンマドはアラブ人です。そのためイランの最高指導者、新大統領はアラブ系の血を引く人物になります。
 そうなりますとペルシャとアラブは何が違うのかという根本的な疑問が出てきます上、ペルシャ人は何か。そもそもペルシャとは何かという疑問にもつながります。

 そこで簡単なイランの歴史を紹介します。
 ギリシャと戦ったアケメネス朝ペルシャ。その後、ギリシャ・マケドニアのアレクサンドロス大王が破竹の勢いで東方世界へせめて行き、イランを占領し、インドまでたどり着きました。
 ギリシャ支配の後、いくつかの王朝が勃興しました。その1つがパルティアです。
 中国に仏教を伝えたのがパルティア出身の僧侶・安世高と言われています。当時は仏教がありました。
 ローマ帝国最盛期の頃、アルメニアを占領し、キリスト教がアルメニアに伝わりました。
 現在のイランにアルメニア人が住んでいて、キリスト教を信仰しています。

 時代を経てササン朝ペルシャになりました。ササン朝ペルシャはカスピ海沿岸を発祥とするアーリア人によってできた王朝です。ササン朝ペルシャの皇帝はゾロアスター教の神官でした。神官皇帝とも呼ばれています。宗教指導者が国のトップを務める。今のイランに似ていますね。
 アラビア半島で興ったイスラム教。ササン朝ペルシャと東ローマ帝国(ビザンツ帝国)が戦いに明け暮れる中、漁父の利を得るが如く、ササン朝ペルシャを滅ぼしました。イスラム化がはじまりました。
 この時、インドへ逃げた人達は、インドのゾロアスター教徒になっています。ゾロアスター教徒は商売上手なのか、インドでいくつかの財閥を形成しています。タタ財閥が良い例です。

 その後、バグダットを首都とするイスラム教のアッバース朝が勃興し、ペルシャ地域も占領しました。
 アッバース朝。唐との激突(タラス河畔の戦い)があります。

 その後、いくつかの国が勃興する中、今度は中央アジアの騎馬民族が西へ移動し建国したのがセルジューク朝トルコです。
 そしてチンギスハーンが建国したモンゴル帝国に占領されました。モンゴル帝国・四代目皇帝のモンケハーンの弟・フレグを祖とするイルハーン朝が成立しました。
 イルハーン国は、その後、解体し、モンゴル系のティムールが興したティムール帝国が出現しました。
 ティムール帝国も崩壊し、シーア派が支配するサファヴィー朝が成立しました。
 シーア派の中にもいくつかの宗派がありますが、この時、十二イマーム派の国家が樹立されました。
 イマームとはムハンマドをはじめ、ムハンマドの子孫を指導者とし、12代目まで存在したと信仰する宗派です。12代目はどこかに隠れているが、今も生きているという信仰です。12代目イマームの代行として法学者による統治が行われました。今のイランにつながる統治方法です。
 カージャール朝、パフレヴィー朝、そして1979年のイラン革命により、現在のイラン・イスラム共和国が成立しました。
 シーア派の12代目イマームの代行として法学者による統治。初代がホメイニ師で、2代目は現在のハメネイ師です。

 私の勉強不足のため、大雑把な流れしか書けませんが、大雑把な流れを見ても、色々な民族が支配した地域、いくつかの宗教が存在している地域だというのがわかりますね。ますますペルシャが何かわからなくなりますね。

 「イラン=ペルシャ、イスラム教」で見ますと、イランの事を見誤りそうですね。

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