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月読命を祀った月読宮。伊勢神宮の内宮の別宮への参拝

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 大晦日、伊勢神宮へ行きました。内宮の話を書くのが定番になりますが、今日はあまり知られていない月読命を最初に取り上げてみました。
 月読宮は近鉄・五十鈴川駅から徒歩7,8分の所にあります。内宮の混み具合とは違い、参拝者の姿は数人でいたぐらいでした。

 月読命は伊勢神宮の祭神・天照大神の弟です。高天原は天照大神、須佐之男命は海、月読命は夜の世界を治めています。3神は兄弟です。
 ところで月読命は古事記、日本書紀の記述が、ほんのちょっとしかありません。

 古事記では、イザナギが右目を洗った時に生まれた神で、イザナギから「お前は夜の世界を治めなさい」と言われました。それだけです。寂しい限りです。

 日本書紀ですと、もう少し記述があります。天照大神から保食神(穀物を司る神)に対面するように言われました。そこで月読命は保食神に会いに行いましたら、保食神から食事が出されました。でも、その提供の仕方は・・・。モザイクがかかる下品な内容なので割愛します。そのため月読命は「汚らわしい」といって保食神を殺してしまいました。その事を知った天照大神は激怒して、「お前は悪い神だ。お前とは一緒に住みたくない」といって、天照大神は昼の世界、月読命は夜の世界に住む事になりました。
 ロクでもない内容ですが、それでも古事記よりも記述があるだけマシのような気がします。ところでモザイクがかかる下品な話の部分は古事記にもありますが、古事記では当事者は月読命ではなく須佐之男命です。そして殺されたのは保食神ではなく大宜都比売神です。

 余談になりますが、古事記とギリシャ神話は類似点があることで、よく比較されます。
 ギリシャ神話では天を治めるゼウス、海を治めるポセイドン、冥府を治めるハデスがいます。3神が世界を治めるのは古事記と似ていますので、天照大神とゼウス、須佐之男命とポセイドン、月読命とハデスと対比させる事があります。

 ただ、月読命が夜の世界を治めるのに対して、ハデスは冥府を治めています。統治している所が異なります。
 ところでギリシャ神話でのハデスの記述は、農業の女神のデメテルの娘・ペルセポネーを誘拐して結婚するという略奪婚の話があります。散々、揉めた後、4ヶ月だけペルセポネーがハデスの所に住む事で落ち着きましたが、その間は母親であり農業の女神のデメテルはふさぎこんでしまうため、その期間は農作物が育たない冬になりました。
 ハデスはロクでもないやつですが、ロクでもない行動だけでも記述されています。でも、古事記では月読命は「夜の世界を治めなさい」といわれただけで終わっています。

 話は変わりますが「月読」は「ツクヨミ」と「ツキヨミ」の二種類の読み方があります。古事記・日本書紀は前者、伊勢神宮では後者を採用しています。
 月読命の漢字表記ですが、日本書紀では月夜見になっています。伊勢神宮の内宮では「月読宮」で古事記と同じですが、外宮の別宮は「月夜見」と日本書紀の表記になっています。

 月読命の事を知りますと、伊勢神宮の参拝経路に月読宮を加えたくなるかもしれないですね。

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