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天文学者のウルグベクと天文台跡。ウズベキスタン・サマルカンド散策
夏季休暇はウズベキスタンを旅行しました。
ティムール帝国の四代目君主のウルグベクは学問を奨励したばかりではなく、ウルグベク自身が学者でした。特筆すべき事は優れた天文学者だった事です。
ウルグベクの天文学者としての実績の1つとして、1年の時間を正確に測定した事が挙げられます。現在の基準から見て驚くべき精度での測定でした。その誤差は22分です。
ところで1年は365日と言われていますが、それは正確ではありません。
大雑把に書きますと365日と6時間です。365日にしますと、毎年、6時間のズレが生じます。そのため4年に1度、帳尻を合わせるため、うるう年が設けられ、2月29日を追加する事で調整します。
しかし、それだけではズレは完全に解消できません。100年に一度は微調整のためうるう年は設定されません。西暦を100で割れる年は、うるう年の設定がありません。さらに微調整で西暦を400で割れる年は、うるう年の設定があります。
西暦2000年のミレミアムは100で割れますが、同時に400で割れるため、うるう年の設定があり、2月29日がありました。400年に1度の2月29日でした。
コンピューターの2000年問題で西暦を下2桁だったのを4桁に変更する作業で、IT業界は悲鳴を上げていた話がありますが、うるう年の設定でも、100年に一度の微調整は考慮されていたが、400年の微調整が考慮されていなかったシステムがあり、もう1つの2000年問題と言われていました。
ウルグベクは1年を365日6時間10分8秒と計算しました。ウルグベク天文台、サマルカンド(アドバンツアー社)
現在の測定値では約365.24219日です。どの年がうるう年になるの?(国立天文台のQ&A)
現在の精密な測定ですと365.24219日は365日5時間48分45秒です。ウルグベクの測定値と比べて差は22分です。誤差はたった22分。400年前の技術なだけに凄い精度です。
天文台跡へ行きました。ウルグベクの銅像がありました。天文台跡ですが一部しか残っていません。
ウルグベクの天文研究や男女の教育がイスラムの教えに反するという事で、ウルグベクのやり方に反発していた保守派がいました。そのためウルグベクの死後、イスラムの保守派によって天文台は破壊されました。
その後、ウルグベクの業績や天文台は忘れ去られましたが、1908年の発掘調査で天文台やウルグベクの業績が再び世に出る事になりました。
天文台跡にあります資料館にはウルグベクのもう1つの業績の星座早見盤や星座の展示などがありました。
ところで為政者が天文学に興味を持つ例はウルグベクだけではありません。
日本の場合、徳川8代将軍・徳川吉宗があげられます。正確な暦を作ろうと西洋から天文学の知識を吸収しました。そのためか時代劇「暴れん坊将軍」でも彗星の回があります。
宇宙がどうなっているのか、太陽の動きがどうなっているのか。古今東西問わず興味が尽きない分野ですね。