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継体天皇が即位した樟葉宮。大阪府枚方市楠葉

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 3月14日、枚方市楠葉にあります樟葉宮へ行きました。
 樟葉宮は交野天神社の境内にあります。今の行政区分で見ますと枚方市と交野市と分かれていますので、楠葉なのに交野と疑問に思いそうですが、元々、この地は河内国交野郡なので、交野といっても

 日本書紀の内容が正しいという前提で、簡単に粗筋を書きます。

 継体天皇は、男大迹王(おおどのおう)という越前の地方豪族でした。応神天皇の5世孫(孫の孫)のため「王」の称号を持っていました。
 残虐でヤバい武烈天皇は後継者を残さずに崩御しました。
 そのため大連(大和朝廷の軍事部門の大幹部)の大伴金村が後継者を決めるための会議を開きました
 大伴金村は「仲哀天皇の五世孫・倭彦王を後継者にしよう」と提案しましたら、参加者全員が賛成しました。しかし倭彦王に次の大王(おおきみ)になるよう要請したら、逃げてしまった。
 しばらくして、次の候補者として大伴金村は「男大迹王は情け深く親孝行なので大王にふさわしい」と提案しました。
 この時も物部麁鹿火をはじめとする大幹部達全員が賛成したため、男大迹王に使者を送りました。
 しかし、男大迹王は大王就任を固辞しました。ただ、使者と顔見知りだったので、使者に連れられ、河内国交野郡葛葉(楠葉)にやってきました。
 大伴金村が頭を下げて大王就任の要請をしたら、男大迹王は「民を我が子として国を治めることは重大な事。私には力不足。賢者を選んで欲しい。私には到底できない」と固辞しました。
 それでも負けじと大伴金村が「どうか多数の者の願いを聞いてください」と頭を下げました。
 すると男大迹王は「大臣・大連が全員推すのであれば、私も背くわけにはいかない」で大王に即位する事を決めました。
 男大迹王は、樟葉宮で大王に即位をしました。継体天皇の誕生です。

 ここまでが継体天皇即位に関する日本書紀の記述の粗筋です。

 大王になり手がいなかった事。継体天皇は全員の賛同を得られないと大王に就任しないと固辞した事から、大王の座については色々な仮説が出ています。
 権力闘争。粛清の嵐。そのため厄介なことに巻き込まれたくないという本音があったのではないかという仮説です。
 継体天皇が即位したのは58歳でした。越前の地方豪族として平和に過ごしていたため、余生を楽しく暮らしたいのに、厄介な事に巻き込まれたくない。そのため大幹部全員の賛同という事で安心感を得る必要があったと考えられます。

 応神天皇の血を引くとはいえ、地方豪族だった人物を大王にするのだから「誰が、こんな奴に従えるか」という反発もあったと考えられます。
 そのため継体天皇も即位には消極的でした。

 そういう事も考慮したのか、日本書紀には、大伴金村の提案で、仁賢天皇の皇女・手白香皇女を皇后にしたと書いています。
 生まれてきた子供が大王の家系の正統な後継者とするためではないかと言われています。2人の間に生まれた子供が欽明天皇です。聖徳太子の祖父にあたる人物です。

 それでも反発する人たちは少なくなかったという仮説があります。
 日本書紀には、継体天皇が即位してから12年目に京都府乙訓に都を移した事。20年目にして、ようやく大和の地(奈良県桜井市)に都を移したことが書いています。
 なぜ20年かかって大和に入ったのかは書かれていませんが、大和王権を取り巻く豪族達の中には、継体天皇を認めなかった勢力がいたという仮説があります。
 その上、筑紫磐井の乱も起こっています。継体天皇に対する反発です。この時、継体天皇の即位を要請した大伴金村、それに賛同した大連の物部麁鹿火が鎮圧に行き、無事、鎮圧しました。

 無事、大和に入った継体天皇。80近くでした。82歳で崩御しました。
 この時、手白香皇女との間に生まれた欽明天皇は幼かったため、前の后との間で生まれた子供が天皇になりました。
 8安閑天皇と宣化天皇です。継体天皇が若い時に生まれた子供だったため、安閑天皇は66歳で即位。宣化天皇は69歳で即位でした。
 この時代の60代は老人でした。あくまでも欽明天皇へのつなぎでした。

 皇統が絶えたら、五世孫の範囲まで皇位継承権がある。その不文律のきっかけが継体天皇です。
 平安時代に起こりました平将門の乱の時、平将門が「親皇」と名乗ったのは、桓武天皇の五世孫だったためです。

 ところで継体天皇の業績は、農業振興といわれています。
 日本書紀に「男が耕作しないと、天下はそのために飢える事があり、女が紡がないと天下は凍える事がある。だから帝王は自ら耕作して農業を勧め、皇妃は自ら養蚕をして桑を与える時期を誤らせないようにする・・・」という記述があります。

 日本書紀を片手に歴史散策。日本書紀の内容を鵜呑みにはできませんが、歴史散策にはお勧めです。

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